若い頃に達観したこと

自動車免許を取り、車を買って、

嬉しくて毎朝毎晩あてもなく走っていた。

 

信号でヨーイドン。

前を走る車に追いつき、追い越しをかけ

闇雲に先頭を目指して走り続けていた。

 

気分よく先頭を走っていると、コンビニや

脇道から車が自分の前に出てくる。

また、先頭に立ちたくて無謀な追い越しをかけ先頭に立つ。

そんな自己満足をしばらく繰り返していたその時、

ある事に気がついた。

「この順番争いは終わらない。そして決して先頭にはなれない。」

 

終わらない「らせん階段」が頭の中にイメージされた。

そこには敵がいて、そいつを倒してどんどん前に進まなければならない。

後からも追われ、倒したと思ったら次が出てくる。終わりは見えない。

進むのを止めるか、自分が倒されるまでどこまでも続くのだ。

 

大袈裟だがそんな事を考えた。

それから私は競う事に全く興味が無くなった。

終わりがないからだ。

 

この「らせん階段」は万物に置換えられる。

自分が一番だと思っても必ず上には上がいる。

ズルして割込んで来る奴もいる。

 

だから評価は気にしなくなった。

やるべき事を自分のその時の全力でやっていればよい。

凡人故に今でもそう思う。

天才は突き抜ければよろし。